指先に文学を纏う

羽根ペンをかたどったブラシ、インク瓶のようなボトル、本の数だけある色。
「指先に文学を纏う」は、書店・文喫と台湾のネイルブランド「et seq.」との
コラボレーションによって生み出される、文学をモチーフとしたネイルポリッシュ。
古今問わず、世界でも読み継がれる日本人作家の文学作品を元に、
各作品から想起されるイメージや作品を象徴するような場面を、
まるで指先から物語がはじまるように、色や質感に託して表現しています。
 
文喫×et seq.の“文学を纏うネイル”で、
お気に入りの文学をお守りのように指先に纏ってみませんか。

Collections

  • 京極夏彦

    京極夏彦

    君を取り囲む凡ての世界が、まやかしのように消えてしまうその瞬間。 非日常はいつだって、日常の一歩後ろでぽっかりと闇の口を開け待ち構えている。 そこに確かな境界などない。   「不思議」を生むのは、君の脳そのものだ。 それを真にするのもまやかしにするのも、君の選び取る言葉次第だ。 妖怪に姿を与えたのは、他ならぬ君自身なのだ。 それでも君は言葉を必要とするだろう。 惑わされながら、深く信じながら。 そうして、君は言葉を纏う。 

  • 太宰治

    太宰治

    生きることは、あわいを漂い続けることだ。 哀しみを笑い、楽しみに傷つき、不幸を慈しむ。 寄る辺なくただ揺蕩いながら、この眼は水面の光を追っている。 眩しさに細めた目は、微笑んでいるように見えるだろう。 幸福だった不幸だったと、人は勝手を言う。 それでもなお、わたしはわたしだ。 この愉快な諦めを、生きていようと思った。 

  • 宮沢賢治

    宮沢賢治

    あまりにも小さな存在であるわたし(という現象) かなしみや、忙しない明滅に疲れ、目を瞑る 握りしめた手に、凍りつきそうな血の流れ 揺らぐ水の底に光る石を見つける 削りだした希の焔は強く輝いた 透明な光   そっと手に取り道を照らす灯籠にして、 暗い大地を進む 反転、天に続き、気付けば一面の光 ずっと見守られていた 私たちはみんなひとつだった... 

  • 森見登美彦

    森見登美彦

    今在る自分は、最善だろうか。​​ 憧憬と劣等感がまとわりついて離れない。​​​ 暴風に煽られ、立ちすくむ。灯を探す。​​​ 騒々しい人波の隙間を縫って​​ 声が残響する。​​ 「惜しまずに、進め。」​​ 世界を置き去りにしても、 ​ 君の隣を行きたいのだ。​ 持て余していた意志が、​ 時は来たとばかりに身体に満ちていく。​​ 今からでも遅くない​。​... 

  • 江國香織

    江國香織

    孤独がおしよせるのは、たとえば 夜のホームに降りたったとき。 あなたからの電話を待っているとき。 シーツの中でうずくまっているとき。   移ろい変わっていくのはさみしくてたまらないのに、 いつか終わるということが、 とりとめもない今を、曖昧に肯定してくれる。 うす暗い浴室で、 わたしだけの孤独が指先にゆらめくのを じっと見つめて、あしたを待っている。