コレクション: 太宰治

生きることは、あわいを漂い続けることだ。
哀しみを笑い、楽しみに傷つき、不幸を慈しむ。
寄る辺なくただ揺蕩いながら、この眼は水面の光を追っている。
眩しさに細めた目は、微笑んでいるように見えるだろう。
幸福だった不幸だったと、人は勝手を言う。
それでもなお、わたしはわたしだ。
この愉快な諦めを、生きていようと思った。