コレクション: 江國香織

孤独がおしよせるのは、たとえば
夜のホームに降りたったとき。
あなたからの電話を待っているとき。
シーツの中でうずくまっているとき。
 
移ろい変わっていくのはさみしくてたまらないのに、
いつか終わるということが、
とりとめもない今を、曖昧に肯定してくれる。

うす暗い浴室で、
わたしだけの孤独が指先にゆらめくのを
じっと見つめて、あしたを待っている。