コレクション: 凪良ゆう

 

わたしの手の中にある、たったひとつの世界。
誰かに侵されることを拒み、
透明な膜で何重にもくるんで守る、わたしだけの世界。
命がけで味わうこの痛みは、この幸せは、
間違いだらけに見えるだろう。
誰かに真に理解されることはないのだろう。
それでもわたしはあなたの隣にいることを選んだ。
歪でも、わかりあえなくても、一緒にいたい。
名前のない関係は、たしかなぬくもりを灯す。
わたしがわたしである輪郭をつくる。
それはこの世界で呼吸するために、なくてはならない小さな光。
わたしたちが不可侵な物語を生きている証。